環太平洋戦略的経済連携協定

 TPP。最近よく新聞やテレビに出てくる用語だ。環太平洋戦略的経済連携協定Trans-Pacific Partnershipの略語である。

 菅総理の所信表明演説に突然出てきた言葉だ。私が民主党に所属していたころにこのTPPへの参加問題は一切議論に上っていない。なぜ突然このタイミングで出てきたのかもよくわからない。農林水産部会でもこの問題をめぐり大紛糾である。昨年のマニフェストで日米FTA締結という文言を党内の合意なしに入れたときにも大変な議論になった。当時、鉢呂先生や松木先生、篠原先生などと連絡を取りながらマニフェストの修正を実現した。あの時の事が全く生かされていない気がする。

 この協定の概要は平成27年までに工業製品や農業製品の品目にかかわらず例外品目の極めて少ない(交渉締結時に貿易総額の90パーセントの関税を撤廃)関税撤廃と貿易自由化を目指すFTAを含む協定である。シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4カ国で発効し、現在はオーストラリア、ペルー、アメリカ、ベトナムを加えた8カ国で交渉を開始しておりマレーシアも加わり9カ国で交渉している。

 WTOが遅々として進まない中で世界はブロック化を強めている。私はこの状態は好ましくないと考えている。世界平和を考える上でブロック化は危険な方向である。グローバリズムは世界を幸福にしたかといえばその答えはノーである。

 今日は甘味資源作物対策に関する集会に出席してきた。北海道、鹿児島、沖縄の各地から多くの農業関係者が参加していた。私に発言の機会は無かったがビートの振興に尽力している事は伝わっていると思う。

 世界中が平和で戦争が二度と起きないのであればある程度適地適作で世界中が資源を無駄にしないような形も考えられるかもしれない。しかし国家として常に自国民が危険にさらされる状況を想定しておかなければならない。砂糖生産はコストがかかるものであるがもし万が一、糖分が入って来ない事態になった時に生産体制を崩壊させてしまっていたら大変である。

 これは大げさな話ではない。事実、日本の製糖産業は形成不振のために明治29年に閉鎖され台湾に機械は売却され日本本土に製糖工場は無かった。しかし第一次世界大戦で世界の砂糖生産の半分を占めていた甜菜糖は大打撃を受け、糖価暴騰と深刻な砂糖不足を来たした。そこで砂糖の安定供給対策が急務となり北海道に再び工場が出来たのである。

 今は時代が違うので状況は当時と大きく異なるかもしれない。しかし国家の為政者は常に国民が戦乱に巻き込まれた時のことも想定しておかなければならない。

 もちろん日本は工業立国であるので自由貿易の促進は必要である。しかし国家全体の事を考えると拙速にTPPの締結を行ってはならないと考える。

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